雑記|鯖寿司と酒とメビウスを。

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黒柴親子と私たち◇ひとさし指と中指で織り成すブログ

2022.8.13

KUMA家は初盆を迎えた。

療養していたお義父さんが亡くなってもうじき1年が経つ。

「お迎えは何時に行くの?」

とくまちゃんに尋ねると、

「かあさんが朝早く行ってるから大丈夫」

というので、5時台にワンズ2匹の朝ンポを早々に済ませて、地元へ出発。

ぽんちゃんはいつものように車内でぴぃぴぃと文句を垂れ、ゴローさんはさっそく熟睡モードに投入。ほんとにどこでも寝るな。

高速道路を走ること2時間ほど。

特別混雑もなく、9時前にはくまちゃんの実家にたどり着いた。

「帰ったよー」

ちょくちょく帰っているのでそこまで新鮮味もないが、義姉とは久しぶりに会った。

ぽんちゃんとゴローさんを玄関からあがって放すと、わらわらと家中を駆け回り始める。

ちなみに義姉にもミックスのもも(♂)がいるので、お義母さんの柴犬ゴンと合せると4匹が勢ぞろいになった。

くまちゃん「かあさん、もう迎えいったんやろ?」

お義母さん「あ、まだ行ってない」

くまちゃん「えっ」

私「お義父さん手元供養なんに、そもそもお迎えいかないかんの?」

くまちゃん「あんた…お盆はほかにばあちゃんたちもおるんやけんね…」

私「あ、そうか」

KUMA家の先祖さまたちのことすっとばして、お義父さんの初盆しか頭になかった。

そんな感じでゆるやかに初盆がはじまりました。

でもきちんとお義母さんが、提灯やら祭壇やら綺麗に準備してありましたのでご安心を。

俺行ってこよかー、とくまちゃんが結局1人でお迎えに。

といっても、家の真向かいがお寺なんですぐそばだ。

よろしくー-と女どもはのそのそと喪服に着替えはじめる。

「まだ来ないよね、だれも」

香典返しやお茶のチェックをやって準備万端。

くまちゃんは5分くらいですぐ戻ってきて、祭壇にお線香をあげてそれぞれがそのあとに続いた。

午前中はやはりバタバタとしていた。

お義母さんとくまちゃんがお参りに来て下さった方々の応対。

私と義姉はリビングでコソコソと「誰だっけ…?」と確認したり、香典返しをそっとお義母さんに渡したり、お茶の出し下げの任務に就いた。

「こんにちはー-」と玄関がガラガラと開くたびに、リビングにいるワンズ(主にゴローとぽんちゃん)が人間と一緒にお出迎えしようとするのを止めるのも大変だった。

時々、うまいこと手をすり抜けて庭を走り回っていた子がいたけど…。

「いやー疲れた」

暑さもあって疲労が倍増する。

11時。

昼飯どうしようか、という話題になって、KUMA家の人たちは動けないので私が近所のスーパーに買い出しに。

なんがいい?とみんなに聞くと

「なんか適当に弁当」

「ざるそば」

「寿司」

とか食べたいものがバラバラすぎて…まとまりないなぁと思いつつ、

このくらいの緩さがいいのかもなとも思う。

そんなみんなの食べたいものが買えるくらい、スーパーは品揃えが豊富だった。

お盆初日なのもあって、田舎町のスーパーでも人が多い。

言われたものと、義姉がTVを見ながら「あー唐揚げ食べたいわー」と言っていたのを思い出し、唐揚げも購入。

あとはお義父さんに、鯖寿司を。

ここのスーパーの鯖寿司を時々食べていたからだ。

祭壇にあげようと思って。

お義父さん。

晩年は歯が悪いせいで、なにを食べても数の子を咀嚼しているような「コリコリ」とした音をさせていたのを思い出す。

身体は細く、食も細かった。

真夏でも寒い寒いというタイプで、着る服は女性ものじゃないと合うものがなかった。

好きなものとか、なにか食べられるものを少しでもたくさん食べさせようと、くまちゃんが好物をよく買ってあげていたが、食べきれずに残すことが多かった。

それでもくまちゃんが帰省して食卓を囲む日は、いつもよりたくさん食べるのだとお義母さんがいつか言っていた記憶がある。

「お酒さえ飲まなければねー-」とくまちゃん一家は口をそろえて言う。

どんだけ焼酎を没収しても箪笥や倉庫に隠しもっていたらしい。

普段物静かだが、そういうとこは頑固な九州男児である。

以前、私がくまちゃんにコーラ禁止令を出した時期があった。

ある日、ふと洗濯物を入れようと収納ケースを引き出したら、ちゃぷんと音を立てて転がってきたのは……なんとコーラのペットボトル。

「ひっ!」と思わず声が出たのを覚えている。

突然現れたコーラに驚いたんじゃない。

脈々と受け継がれるお義父さんからのDNAに恐れおののいたのだ。

そういうとこは似るんじゃないよ、まったく。

箪笥に焼酎、収納ケースにコーラ。

いや確かに禁止はしたけども。

わかるやろ。収納ケースはバレるって、絶対。

お義父さんともう一度話せるなら、絶対にこの話をすると私は決めている。

お義父さんがまだ元気な頃、お義母さんが短期間の入院をしたことがあった。

ほっそいお義父さんの単身生活に勝手に不安になり、一度様子を見に行ったことがある。

しかし、私の余計な心配をよそにお義父さんはいつものように庭いじりをし、リビングをめちゃくちゃ綺麗に片づけていた。

お義母さんと夫婦そろっている時以上に、掃除が行き届いているではないか…!!

あんなに片付いているくまちゃんの家を見たのはあれが最初で最後だったと思う。

そんで、買っておいた幕の内弁当を「食べとってくださいね」と言ったのだが、

後日になってくまちゃんが別日に全く同じ弁当を買っておいたのが発覚。

「違うもんが食べたいって言ってくれたらよかったのに…!」と思ったものだ。

お義父さんはそんな人なのだ。

ぼそっと呟く冗談も、声が大きいお義母さんにいつも搔き消されてしまうので、お義父さんが口を開いたときは耳を澄ましておかなければならない。

兄弟と家族が揃ったあの日の夜。

くまちゃんの顔をじっと見て、さっと逝ってしまったのにはお義父さんらしさを感じた。

お義母さんはさみしいのでお義父さんを手元供養しているし、

くまちゃんも、義姉も小さな容器にお義父さんのお骨を入れて自宅に置いている。

容器が……義姉が火葬の前に急ぎで準備したから仕方がないのだけど……

てっきり小瓶がなんかを百均で買ってくるかと思ったら、ポチャコのコンタクトレンズを入れるようなケースで……

ポップすぎるだろ。

お義父さんのことだから気にしなさそうだけど。

たぶんきっとまたボソッと言っているに違いない。


買ってきた昼食をパクついたあとは、それぞれリビングから解散して誰かがくるまで喪服を着たまま爆睡。

犬たちも私たちだけになるとはしゃいだり、昼寝をしたりしていた。

ぽんちゃんとゴローを会わせたかったなぁ。

たぶん、ゴローとか大好きだと思う。

17時くらいにお坊さんがやってきてお経を唱えてもらい、18時を過ぎると「今日はもう誰もこんやろ」というお義母さんのひとことをきっかけに、みんなで喪服を脱ぎすてた。

そんで犬たち夕方の散歩。

ぽんちゃん、負けずギライすぎて4匹の先頭に立とうとするもんだから、引っ張りがすごかった。

ゴローはいつもどおりに大量のウンチを生産し、そのあとは黙々と歩を進めていた。

夜はくまちゃんがリンガーハットの冷ちゃんぽんをテイクアウトしてきて、みんなで食べた。

どこのちゃんぽんがおいしいかという話題になって、ここでもまたお義父さんの話に。

「お義父さんはね、醤油より豚骨ベースが好きなんよ」

とお義母さん。

その日は疲れすぎて犬も私たちも死んだように眠った。

2022.8.14

中日は初日に比べると人も少なかった。

早朝からワンコの散歩をし、その間お義母さんは朝食を作っておいてくれた。

朝から焼き魚に味噌汁にと豪華である。

朝食後は洗濯物を干し、お参りの方がいないときはみんなまた寝ていた。

寝るか食うか、犬と散歩に行くかしてないな。笑

昼はお義母さんが素麺をゆでてくれた。

ぽんちゃんたちもたいていは寝ている。

ぶっちゃけ、ぽんちゃんとゴロー組、もも、ゴンは仲はあんまりよくない。

ていうか、主にぽんちゃんとももがピリピリしていて、ゴローはゴローでたまにゴンをじっと見つめて喧嘩売ってるし。

ゴンも喧嘩売られたら買います!っていうタイプでバチバチしそうになるし。

リビングで同じ空気吸うけど、互いのニオイはあんまり嗅がない、そんな距離感で過ごしてた。

まぁ別に無理して仲良くしなくていいよね。

1年に2~3回しか会えないのだから、距離もなかなか縮まらないし、そもそもぽんちゃんもゴローもそういうのは上手ではないのだ。

2日目の夜は雨が降ったので、庭で排泄だけさせて、夜を迎えた。

夜はお義母さんの好きなモスバーガーをテイクアウトして食べた。

お盆なのに、完全にジャンクである。

2022.8.15

最終日は寝坊して6時から遅めの朝ンポ。

連日、スコールのような雨が降るのもあってか気温がいくぶん下がって涼しい。

田舎の田んぼ道をひたすら真っ直ぐ歩いた。

いい具合に風が吹いていて6時を過ぎてもお散歩しやすかった。

最終日はもう誰もこないんじゃない?と2日目と同じようなことを言いつつ、

お義母さんの作った朝食を食べ、朝のワイドショーに文句を言い、

洗濯物を干して再びリビングでごろ寝をした。

ちょうど地元の高校が甲子園に出ていたので応援していたが負けてしまった。

午前中の1人を最後にお参りは終わった。

ほんと食べるか寝てかしてないのだが、昼食は近所のジョイフルで弁当を買って、みんなでパクついて午後からまた解散して昼寝。

目覚めたらアイスコーヒー飲んだり、買っておいたアイス食べて、またごろ寝。

いや、寝すぎだろ。

さすがになんもしてないな、と夕方からぽんちゃんとゴローを連れて庭に出て、水遊びをした。

とりゃー---
おりゃー--

ビショビショになったので、乾かすためにそのままももとゴンも一緒に夕方の散歩へ。

連日の疲れもあったのか、途中でシニア柴のゴンが動かなくなったのでそのまま引き返した。

おじいワンだからね、無理は禁物。

そのあとに、ご先祖を送りに。

夕食はお義母さんが色々作ってくれたので、それをパクついた。

ほんと食べてばっか……。

グダグダテレビを見て、20時に帰路についた。


2匹を抱えて2泊3日の滞在は不安しなかったけど、無事に終えました。

お義父さんの初盆も終えました。(そっちがメインやろがい)

初盆だろうがなかろうが、たいていお義父さんは家族の話題にあがるので、故人を偲ぶとか重々しい感じはなかったのですが、初盆という大切な行事をひとつ終えられました。

鯖寿司と愛用のメビウスと、缶ビールを堪能したことでしょう。

焼酎じゃなくていいの?

ふと今思ったけど。

ちなみにお通夜ではちゃんぽんを置いてました。笑

また明日から通常運転に戻ります。

きみたちもお疲れ。